朝日社説「朝鮮戦争「終結」 効果を見極めた論議を」について論評

(社説)朝鮮戦争終結」 効果を見極めた論議
2021年11月22日 5時00分

 

朝鮮戦争は今も終わっていない。1953年に休戦協定が交わされたまま70年近く、終結の手続きがとられていない。
 南北朝鮮が国連に同時加盟して30年になる。これまで幾度も浮かんだ公式な戦争終結の道筋を探るのは自然なことだ。」

 

←「公式な戦争終結」を行う具体的なメリットはどこにあるのか。ミサイル発射を繰り返し、韓国のみならず日本や米国に罵詈雑言を浴びせる北朝鮮の態度は、それに相応しいものなのか。「公式な戦争終結」ありきの本稿は、そもそもの前提が曖昧かつ朝日特有の偏った願望にのみ基づくもので、客観的かつ詳細な検討が必要であり、それが為されて初めて、以後の論旨は展開されるべきものである。

 


「ただ問題は、今の北朝鮮情勢とどう関連づけ、いかに朝鮮半島の安定を導くかである。確かな見通しと長期的な道程を組み立てた上で進めるべきだ。」


←「いかに朝鮮半島の安定を導くか」が一にも二にも重要な課題であり、これ以外の課題などない。これに繋がらない行動など何一つ必要ではなく、少なくともその見込みを立ててから冒頭の「公式な戦争終結」に言及すべき。

 


「韓国の文在寅(ムンジェイン)政権は近い時期に終戦宣言を出すべきだと提案している。対話再開の誘い水になる、というのが同盟関係にある米国や日本への説明だ。
 これに対し、日米は否定的な姿勢を崩していない。確かに宣言が本当に北朝鮮の態度を変えるのか保証はない。
 戦争を公式に終えるには、休戦協定から平和条約に移る流れが一般的であり、その前段の終戦宣言は非公式な政治メッセージの色合いが強い。
 北朝鮮に実利を与えずに関心を引くカードになりうるのは確かだが、それをいつ、どう使うのか、日米韓は綿密に検討し、認識を共有する必要がある。」


←「確かに宣言が本当に北朝鮮の態度を変えるのか保証はない。」のにわざわざ宣言を行うくらいなら、山ほど存在する他に行うべき行政の課題を解決すべき。「北朝鮮に実利を与えずに関心を引くカードになりうるのは確か」という主張についても、何の根拠も証左もない、願望でしかない。下段のようにそもそも北朝鮮が望んでいなかったのであり、北朝鮮の主張は現在においても変わっていない、と捉える方が、余程説得力のある主張だろう。

 


「宣言は3年前の初の米朝首脳会談前、米政府内で検討されたが、見送られた。北朝鮮側は韓国が見立てたほどには宣言を望んでいなかったとされる。
 金正恩(キムジョンウン)氏は9月の演説で宣言に言及したが、敵視政策の撤回などを前提としており、大きな変化は見られない。
 文政権には、来春の大統領選前に緊張を高めたくない思いや政権のレガシー(遺産)を残したいとの意識があるのだろう。
 だが拙速は禁物だ。残り少ない任期にとらわれず、長い視野で日米と調整するべきだ。」


北朝鮮が引き続き望んでもおらず、効果も極めて不確かな、文政権が望むだけの宣言など、一切不要であり、検討にすら値しない。

 


「日本政府が反対する理由は、ミサイル発射に加え、北朝鮮が在韓米軍の撤退など要求をつり上げかねないとみるからだ。
 だが、日本政府に対案があるわけではない。宣言が必ずしも北朝鮮を利するとは限らず、要は硬軟両様の外交戦略だ。強硬一辺倒で失敗した安倍政権の教訓を忘れてはならない。」


←「宣言が必ずしも北朝鮮を利するとは限らず」というが、先程から述べているとおり日本を利すること可能性は極めて低い宣言をわざわざ行う必要性は、そもそも日本政府には存在しない。宣言を行うべきというのであれば、日本政府としてそれを行う説得力のあるメリットを提示しないと話にならない。学生のヒューマニズムごっこではない。
また「強硬一辺倒で失敗した安倍政権の教訓」と自明のことのように書いているが、世の中一般の認識と異なる主張を、客観的な事例も示さず、ただ一方的に垂れ流すのは、フェイクニュースの類に他ならない。安倍政権の成果については筆者も多々批判するところはあるが、少なくとも客観的な論証を踏まえて行うべきであり、このような責任感の欠片もない、ただ安倍政権憎しという感情の発露をそのまま書いたところで何の生産性もなく、ただ無責任かつ無意味であるというだけである。

 


「米政府は韓国側に一定の配慮をしつつも、早期の宣言には慎重な構えのようだ。」


←根拠も示さず抽象的に「一定の配慮」があるかのように書いているが、米国にそれがあり、日本との差異が生まれているのだとしたら、それこそ下段で朝日新聞自身が述べている日米間の協調枠組みの揺らぎに他ならず、宣言以前の重大な問題である。証拠を示し、それへの具体的な対応までしっかりと言及すべき。このような書き方では、上記と同様に、フェイクニュースと大差はない。

 


「そんな日米韓の調整の場の一つが、ワシントンで先日あった外務次官級協議だった。ところが共同の記者会見は中止になった。直前に韓国警察庁長官竹島を訪れたことに日本側が反発し、会見を拒んだためだ。
 日韓関係を考慮しない韓国の無分別な行動は責められるべきだが、それを理由に日米韓の結束を発信する機会を逸した日本の判断も賢明とはいえない。日米韓の協調枠組みの揺らぎは、北朝鮮を利するだけだ。」


←韓国が一方的に悪い事案について、韓国政府の対応を批判し注文を付けるのではなく、日本の至極真っ当な、かつこれより譲歩することなどあり得ない対応を批判するとは、まさに朝日(ちょうにち)新聞の面目躍如といったところ。

 


全体を通していえることは、「朝鮮戦争終結」 効果を見極めた論議を」というタイトルとは異なり、願望と希望的観測に基づく、朝鮮戦争終結、それを受けた平和条約締結とその対価としての(賠償という名称かどうかはさておき)日本から朝鮮半島への数十兆円をもくろむ大規模無償供与の実施を目論む、極めて政治的な意図を持った社説だということだろう。我が国は、このような左翼陣営の主張に惑わされることなく、引き続き対北朝鮮政策には厳しい態度で臨むとともに、何かにつけて反日的な言論、行動を取る韓国に対しても、一切妥協することなく、毅然とした対応を続けるべきである。終戦宣言など、1ミリたりとも必要ではない。